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個人開業医が医療法人化を検討すべきタイミング|埼玉県での法人化判断基準

個人開業医にとって、医療法人化は経営上の重要な転換点となります。ご自身のクリニックの状況に合わせた最適なタイミングを見極めることが成功の鍵です。

医療法人と個人開業医の基本的な違い

医療法人化を検討する上でまず理解すべきは、個人開業医のクリニックと医療法人との根本的な違いです。

事業主体
個人クリニックでは医師個人が開業医として事業を営み、患者との契約や報酬に直接関与しますが、医療法人では個人と法人が明確に分離され、法人格が事業主体となります。法人の財産と個人の財産も明確に区別されます。

許認可
個人クリニックの開設には各種届出のみが必要ですが、医療法人の設立には都道府県知事の認可が必要です。

登記
医療法人は登記が必要とされますが、個人事業主は不要です。

診療所数
個人開業医が開設できる診療所や病院は1カ所のみですが、医療法人は複数の分院開設が可能です。

事業範囲
個人開業医の業務範囲は病院および診療所に限られますが、医療法人は、病院や診療所の他に、介護老人保健施設、看護師学校、医学研究所、精神障害者社会復帰施設など、より幅広い業務を行うことが認められています。

非営利性
医療法人は、国民の健康維持に寄与する役割が求められる非営利組織であり、収益事業を行ったり、余剰金を配当したりすることは認められていません。

法人化を検討すべき具体的なタイミングと判断基準

医療法人化は、クリニックの経営状況や将来の展望に応じて検討すべきです。

目次

利益水準と税負担の状況

個人開業医が悩む姿

医療法人化の最大のメリットの一つは節税効果です。個人の所得税率が累進課税であるのに対し、医療法人の実効税率はおおむね26%~35%と、個人と比較して低い税率となる場合があります。

法人化により、院長は医療法人から役員報酬(給与)を受け取ることになります。この役員報酬には給与所得控除が適用され、課税対象所得を圧縮できる可能性があります。

また、所得を法人所得と個人所得に分散することで、納税額の総額を抑えられる場合があります。家族を役員として迎え入れ、適正な給与を支払うことで、より効果的な所得分散を図れるケースもあります。

ただし、役員報酬は年間を通じて変動させることができず、変更は事業年度開始から3ヶ月以内という制約があります。高額すぎる役員報酬は損金算入が認められない場合があるため、注意が必要です。

医療法人では、理事長やその配偶者に退職金が支払われることが可能になり、支給額が適正であれば全額損金算入が可能です。

また、医療法人が生命保険に加入した場合、保険の種類によっては保険料を全額または一部損金に計上でき、法人税の負担軽減が期待できます。

事業承継の計画

医療法人化は、親族など後継者への事業承継をスムーズにするための有効な手段の一つです。

事業拡大・分院展開の意向

将来的に複数の分院を開設したり、有料老人ホーム、リハビリフィットネスなど医業に関連した多様な事業展開を考えている場合、医療法人化が必須となります。医療サービスと介護・福祉の連携が求められる現代において、事業拡大を図る上で有利です。

医療法人化に伴う留意点

メリットだけでなく、デメリットや事務作業の増加も考慮する必要があります。

設立・運営手続きの複雑化
医療法人の設立手続きは煩雑で、多くの書類作成や行政からの審査を伴います。設立後も、決算報告の届出、資産総額の登記、役員重任登記、社員総会や理事会の開催、監査の実施など、定期的な業務や運営上の義務が発生し、事務作業が煩雑化します。これらの業務は、専門家への委託が必要となり、委託料の負担が増加する可能性があります。

資金の自由な使用の制限
個人事業の場合、収益は院長が自由に使うことができますが、医療法人の場合、院長個人の所得となるのは役員報酬のみであり、法人の現預金を自由に使うことは基本的にできません。私的利用は貸付金とみなされ、金利負担や早期返済を求められる場合があります。

解散時の残余財産の帰属制限
医療法人が解散した場合、残余財産は国、地方公共団体、公的医療機関の開設者、または他の医療法人など、特定の者に帰属すると定められています。これは、医療法人の非営利性を徹底するためです。

埼玉県における医療法人設立のプロセスと特徴

埼玉県で医療法人を設立する場合、地域独自のルールを理解することが重要です。

申請機会: 埼玉県では、医療法人設立申請の機会は年に2回(決まった時期)しかありません。

スケジュール

予備審査の予約: 例年4月、9月に面談日の調整や法人名称の重複確認を行います。

予備審査書類の提出: 5月、10月に押印前の申請書案を医療整備課へ郵送します。

設立総会の開催: 指定される基準日以降に実施します。

予備審査(面談)の実施: 6月、11月に面談が行われます。

書類の補正: 面談時に指示された書類の補正を行います。

本申請: 7月、1月に管轄の保健所に書類を提出します。

認可書の交付: 9月、3月に埼玉県医療審議会への諮問を経て認可書が交付されます。

設立登記: 主たる事務所を所管する法務局で登記を行います。

設立登記完了届の提出: 主たる事務所を所管する保健所に提出します。

期間: 申請受付期間から認可まで約半年間かかります。事前審査の申し込みから設立認可までで約4~6ヶ月、さらに設立認可から設立登記や保健所での開設許可申請などの手続きに1ヶ月から1ヶ月半を要します。

管轄: 原則として埼玉県知事の認可が必要ですが、さいたま市内に主たる事務所を置き、同市内にのみ病院、診療所、介護老人保健施設または介護医療院を開設する場合は、さいたま市長の認可となります。

PROPRIDE行政書士法人埼玉チームの専門性

PROPRIDE行政書士法人埼玉チームは、医療法人設立を専門とする行政書士として、上記の課題解決をサポートします。

豊富な経験と専門知識
医療法人設立に関する豊富な経験と専門知識を持ち、埼玉県の独自のルールにも精通しています。共同代表の辻保司氏は、行政書士、社会福祉士、医業経営コンサルタント、公認内部監査人、公認不正検査士などの資格を保有し、東京都医療政策部で医療法人指導専門員としての公務員経験もあります。

質の高いサポート
設立申請書類の作成量が非常に多いため、品質を保証するため、同時に受ける案件数を限定5件までとしています。申請後も、認可されるまでの約半年間、行政からの様々な問い合わせに対応します。

個別対応
診療で忙しい医師のために、事務所への来所を求めるのではなく、担当者から訪問して面談を行うことも可能です。

このように、医療法人化は多角的な視点からの検討が必要です。PROPRIDE行政書士法人埼玉チームのような専門家は、個々のクリニックの状況を丁寧にヒアリングし、最適な法人化の戦略を提案できる強力なパートナーとなるでしょう.

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