MENU

埼玉県 医療法人設立 申請|認可取得までの完全ロードマップ

個人クリニックを経営されている医師の皆様の中には、

「医療法人化を検討しているが、手続きが複雑そうで何から始めれば良いか分からない」

「埼玉県での具体的な申請手順を知りたい」

「認可取得までどの程度の期間を見込むべきか」

といったお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。

本記事では、埼玉県における医療法人設立申請の具体的な手続きを、段階を追って詳しく解説いたします。事前相談から定款作成、各種申請書の提出、認可取得、登記完了まで、それぞれのステップで必要な準備と注意点を明確にお示しします。

手続きは確かに複雑ですが、適切な準備と専門家のサポートがあれば、段階的に確実に進めることができます。多くの医師の皆様が、この手続きを経て医療法人化のメリットを享受されています。

PROPRIDE行政書士法人埼玉チームが、これら複雑な手続きをどのようにスムーズに代行し、設立までの期間を短縮できるか、そのノウハウと実績についても詳しくご紹介いたします。

目次

医療法人とは|基本的な仕組みと種類

医療法人は、医療法に基づいて設立される法人であり、病院や診療所、介護老人保健施設、介護医療院などを運営するために都道府県知事の認可を受けて設立されます。

株式会社などの営利法人とは異なり、営利を目的としない非営利組織として位置づけられています。

ここでいう「非営利」とは、利益を得てはいけないという意味ではなく、構成員への利益分配(剰余金の配当)を目的としてはいけないという意味です。

事業の継続のために利益を内部留保し、設備投資や役員報酬の支払いに充てることは認められています。

医療法人の形態

医療法人の形態は大きく分けて「社団医療法人」と「財団医療法人」の2種類があります。

社団医療法人は、人の集まりを基盤とした法人であり、現在設立される医療法人の99%以上がこの形態です。

財団医療法人は、財産の集まりを基盤とした法人です。

さらに、社団医療法人には「出資持分の定めのある医療法人」と「基金拠出型医療法人(出資持分なしの医療法人)」があります。

出資持分の定めのある医療法人は、2007年4月以降の新規設立は認められていませんが、それ以前に設立されたものは経過措置として存続しています。

基金拠出型医療法人は、2007年4月以降に設立される社団医療法人の形態です。従来の出資持分制度とは異なり、「純資産の部合計」が、「基金(返還対象)+代替基金+評価・換算差額等」を上回ると、拠出した金額のみが返還される仕組みとなっています。また、解散時は、すべての債務返済後に、拠出された額面金額を上限として返還されます。

この基金拠出型医療法人で医療法人を設立するケースがほとんどです。

医療法人化を検討すべき理由|主要なメリット

埼玉 医療法人設立 申請

個人クリニックから医療法人化を検討するメリットは多岐にわたります。ここでは、なぜ多くの医師が医療法人化を選択するのか、その具体的な利点をご説明します。

節税効果の向上

所得の分散により、医療法人化することで個人の所得と法人の所得を分離し、家族を役員として迎え入れることで所得を分散し、全体の税負担を軽減できる可能性があります。

給与所得控除の活用では、院長や専従者である家族が医療法人から理事報酬を受け取ることで、給与所得控除が適用され、課税対象所得を圧縮できます。

生命保険料の経費計上において、医療法人が契約する生命保険の保険料は、一定の条件で全額損金算入できる場合があります。

退職金制度の活用により、医療法人で蓄えた資金を理事長やその配偶者への退職金として支給することが可能で、退職金には税制上の優遇措置があります。

法人税率の優遇では、所得がある程度の規模になると、累進課税の所得税よりも法人税の方が税率が低くなるため、節税に繋がります。

社会的信用の向上

都道府県知事の厳格な認可が必要であることや、個人資産と法人資産の明確な分離が求められることから、医療法人は個人事業主よりも高い社会的信用を得やすくなります。これにより、金融機関からの融資やローンを組みやすくなるなど、事業展開において有利に働きます。

事業展開の拡大

個人診療所では1ヶ所しか開設できませんが、医療法人化することで分院の開設や介護老人保健施設、介護医療院といった複数の医療機関・介護施設を運営することが可能になります。これにより、事業規模を拡大し、医薬品や検査費用などの交渉で有利になるほか、人材配置の柔軟性も高まります。

事業承継の円滑化

個人事業の場合、院長が亡くなると事業は原則として廃業となりますが、医療法人であれば理事長が交代しても事業を継続できます。これにより、患者や職員への影響を最小限に抑えながら、スムーズな事業承継が可能になります。

特に、基金拠出型医療法人の場合、出資持分がないため、相続税の負担が基本的に基金の額面金額のみとなり、多額の相続税の発生を回避できるメリットがあります。

医療法人化における注意点|事前に理解すべきデメリット

多くのメリットがある一方で、医療法人化にはいくつかのデメリットや留意点も存在します。これらを事前に理解し、適切な対策を講じることが重要です。

手続きの複雑さと期間

医療法人の設立は、個人事業としての開業に比べて手続きが非常に複雑で、時間と手間がかかります。申請から認可取得まで通常半年から1年程度の期間を要します。また、設立時には膨大な量の書類作成が必要となり、都道府県との事前協議や面談、実地調査なども発生します。

運営管理の複雑化と事務負担の増加

法人化後も、法人税の申告、社会保険の手続き、年次総会の開催、毎年決算後に事業報告書等の提出義務、資産総額変更登記(毎年)、役員変更登記(2年ごと)といった多くの事務作業が発生します。

これらの業務を適切に行うには専門知識が必要であり、事務スタッフの増員や外部専門家への委託が必要となり、運営コストが増加する可能性があります。

社会保険加入の義務化

医療法人は従業員の人数にかかわらず社会保険(健康保険、厚生年金保険)の強制適用事業所となります。個人事業主の場合よりも社会保険料の負担が増加することが一般的です。

法人の資金利用の制限

医療法人化すると、医師個人の資金と法人の資金が明確に区分されます。法人の現預金を院長が自由に使うことはできず、役員報酬として受け取る給与のみが個人の所得となります。法人の資金を私的に利用すると、法人からの借金とみなされ、金融機関からの信用を失う可能性があります。

業務内容の制限

医療法人の業務範囲は「本来業務」「附帯業務」「附随業務」に限定されており、営利目的の収益業務は原則としてできません。

本来業務とは、病院や診療所の運営などの医療提供そのものを指します。附帯業務の例には、検診センターの運営、在宅医療サービス、訪問看護ステーションの運営などがあります。附随業務には、職員の福利厚生施設の運営、医療従事者の養成などが含まれます。

組織運営上のリスク

医療法人社団では、社員の議決権は「一人一票」が原則であり、出資額に応じたものではありません。そのため、社員の過半数の支持が得られなければ、たとえ理事長であっても医療法人から「追い出される」可能性があり、社員の人選には細心の注意が必要です。

解散の困難さ

医療法人の解散は、設立と同様に都道府県の認可が必要であり、認可が下りるまでに半年以上の時間がかかるなど、手続きが非常に煩雑です。また、持分の定めのない医療法人では、解散時の残余財産は国や地方公共団体に帰属し、出資者には分配されません。

埼玉県における医療法人設立申請の具体的手順

埼玉県での医療法人設立申請は、以下の手順で進められます。全体で約6ヶ月の期間を要するため、計画的な準備が不可欠です。

管轄の確認

埼玉県内に主たる事務所を置く医療法人のうち、さいたま市内にすべての医療機関(病院・診療所・介護老人保健施設・介護医療院)が所在しない場合は、埼玉県知事の所管となります。開設する医療機関がすべてさいたま市内にのみ所在する場合は、さいたま市長の所管となりますので、事前の確認が重要です。

申請機会の制限

埼玉県における医療法人設立認可申請は、年に2回(決まった時期)しか申請の機会がありません。予備審査の受付は通常、4月頃と9月頃に行われるため、この時期を逃すと半年待つことになります。

詳細な手続きフロー

STEP 1: 予備審査の予約(4月、9月)

面談日の調整や法人名称の重複確認を行います。県内の既存医療法人と同一名称は使用できないため、事前の確認が必要です。メール本文にインターネットサイトへのリンクや画像ファイルが添付されている場合、スパムメールとして処理される可能性があるため、削除して送信する必要があります。

STEP 2: 予備審査書類の提出(5月、10月)

押印前の申請書案を1部、郵送で医療整備課に提出します。提出期限があり、期限までに提出がない場合や書類の不備が多い場合は、予備審査を受けられないことがあります。

STEP 3: 設立総会の開催

別途指定された基準日以降の日程で行います。設立者3名以上による設立総会を開催し、定款の承認や役員の選任など、医療法人の基本事項を決定します。議事録の作成と保管が必須です。医療法違反などの問題点がある場合は、申請の前に是正する必要があります。

STEP 4: 予備審査(面談)の実施(6月、11月)

予約時に調整した日程で面談を実施します。予備審査書類の内容によっては、電話・メールでの実施となる場合もあります。この段階で書類の不備の修正や追加資料の指示、関係機関への照会、申請者(医師)への面接などが行われます。

STEP 5: 書類の補正

面談時に指示された書類の補正を行います。指示された内容について、期限内に適切な対応を行うことが重要です。

STEP 6: 本申請(7月、1月)

管轄する保健所に、3部(控えが必要な場合は4部)提出します。ここで正式な申請となります。

STEP 7: 認可書の交付(9月、3月)

埼玉県医療審議会へ諮問され、答申を受けた後に認可書が交付されます。医療法人として正式に認可されるのは、この認可書の交付時です。

STEP 8: 設立登記(主たる事務所を所管する法務局)

認可書を受領した日から2週間以内に、主たる事務所を管轄する法務局で設立登記を行います。登記が完了することで、法人名義の預金口座開設や、各種名義変更が可能になります。

STEP 9: 設立登記完了届の提出(主たる事務所を所管する保健所)

登記完了後、管轄の保健所に届出を提出します。

医療法人成立後の必要手続き

医療法人としての活動を開始するためには、上記の法人設立手続きに加えて、以下の申請や届出が必要です。

診療所開設許可申請書(法人)を所管の保健所に提出し、医療法上の「医療機関」と認められる必要があります。

保険医療機関指定申請(法人)を管轄の厚生労働省地方厚生局に提出します。これが受理されなければ、社会保険診療を行うことができません。

診療所廃止届(個人)として、これまで個人で経営していた診療所を廃止する届出を、所管の保健所と厚生局に提出します。

各種名義変更手続きでは、電気・ガス・水道、リース会社、ディーラーなどの名義変更や引き落とし口座の指定を行います。

税務関係書類の提出として、税務署、都道府県税事務所、市町村役場に、法人の設立届や青色申告承認申請書などを提出し、個人の廃業届も提出します。

社会保険関係書類の提出では、年金事務所、労働基準監督署に、新規適用届や保険関係成立届などを提出します。

医療法人設立を成功させるための実務ポイント

医療法人設立を円滑に進めるための実務的な観点から、重要なポイントをご説明します。

設立時期の選択指針

医療法人化に適したタイミングとして、年間収益が一定規模に達した段階での検討が推奨されます。個人事業での課税所得が継続的に一定水準を超える場合や、事業拡大や承継を具体的に検討する段階が適切なタイミングとなります。

必要資金の概算

設立手続きに係る費用として、申請手数料、定款認証費用、登記費用、専門家への報酬などを合計すると、一般的に数十万円から百万円程度の費用を見込む必要があります。また、法人として必要な運転資金の準備も重要です。

準備期間の目安

事前準備から設立完了まで、約8ヶ月から1年程度の期間を見込むことが適切です。特に、年2回の申請機会に合わせたスケジュール管理が重要となります。

計画の立案とタイミング

医療法人化の目的(節税、事業拡大、事業承継など)を明確にし、現在の状況(利益水準、借入残高、生活費の確保など)に合わせた最適なタイミングで進めることが重要です。

特に、個人事業時代の運転資金としての借入金は法人に引き継げない場合があるため、返済資金の確保も考慮に入れる必要があります。

専門家の活用と選択のポイント

医療法人設立には、法務、税務、労務に関する専門知識が求められるため、適切な専門家の選択が成功の鍵となります。

各専門家の役割

行政書士は、設立認可申請書の作成や提出、定款作成、許認可申請の支援など、行政手続き全般をサポートします。

司法書士は、法務局での登記手続きを専門としています。

PROPRIDE行政書士法人埼玉チームの特色

PROPRIDE行政書士法人埼玉チームは、医療法人設立を専門とする行政書士として、顧問税理士が未経験の場合や申請書類の作成が困難な場合、過去に申請に失敗した経験がある場合など、様々な課題を解決します。

同チームの共同代表である辻保司氏は、行政書士、社会福祉士、医業経営コンサルタントなどの資格を保有し、東京都医療政策部で医療法人指導専門員としての公務員経験もあるため、幅広い案件の分析・審査に基づいた多角的な視点からサポートを提供します。

申請書の品質を保証するため、同時に担当する案件を5件までに限定しており、診療で忙しい医師のために事務所への来所ではなく、こちらから訪問する面談スタイルを採っています。

医療法人設立申請を検討される医師の皆様へ

埼玉 医療法人設立 申請

埼玉県での医療法人設立申請は、クリニックの安定経営、事業拡大、そしてスムーズな事業承継を実現するための重要なステップです。税制上のメリットや社会的信用の向上といった魅力的な側面がある一方で、複雑な手続き、事務負担の増加、社会保険料の義務化、資金利用の制限といった注意点も存在します。

これらの課題を乗り越え、医療法人化を成功させるためには、早期からの計画立案と、医療法人の設立・運営に精通した専門家チームの支援が不可欠です。

PROPRIDE行政書士法人埼玉チームのような専門家は、複雑な申請手続きの代行や、埼玉県独自のルールへの対応を通じて、設立までの期間短縮と手続きの円滑化に貢献します。

次のステップ

医療法人設立をご検討の際は、まず現在の事業状況の整理から始めることをお勧めします。年間収益、将来の事業計画、設立の目的を明確にした上で、専門家への相談を検討されることが効果的です。

適切なパートナーを見つけることで、医師の皆様は安心して本業である医療活動に専念し、地域医療への貢献をさらに強化できるでしょう。埼玉県における医療法人設立申請の成功に向けて、十分な準備と専門家のサポートを活用し、着実に手続きを進めていかれることをお勧めいたします。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次